ある日突然、自分が避けられない危機に陥ったとしたら、あたなはどう対応しますか?
・強烈なプレッシャーからパニックに陥り、逃げ出す。
・冷静に状況を把握し、できることから対処していく。
「仮の問い」であれば、みな後者である冷静な行動を取ると答えるでしょう。しかし、実際に危機に陥った場合は、大半の人がプレッシャーに押しつぶされ逃げ出してしまうと思います。予測していなかったこと、初めてのこと、ものすごく困難なことに対して恐怖するのは、人間なら当たり前です。
幻冬舎から出版された『治るという前提でがんになった 情報戦でがんに克つ』という本の著者である高山知朗さんは、2度もがんを発症されましたが、そのたびに冷静な行動と計り知れない努力で、さまざまな問題に対処し、危機を克服されました。
当サイトを運営しているiTEMは、高山さんが「オーシャンブリッジ」というIT関連の会社を設立して間もない頃からビジネスでのお付き合いがあり、そして筆者は高山さんのブログのファンで、カメラやITガジェットの記事などをいつも楽しみにしていました。
突然のがん発症をブログで報告
当時のブログによると、高山さんの危機は、仕事での海外出張中に予告なしに訪れます。帰国中途の乗継地の空港で突然意識を失い、帰国後の検査で脳腫瘍と診断されたとのこと。ほか、病気に関連することが事細かにブログ記事としてUPされていました。
単なるブログのファンではなく、高山さんとビジネスでのお付き合いも面識もある筆者としては、その記事を読んでいるだけで心が締め付けられ、やりきれない気持ちと共に影ながら「早く回復してください」と祈ることしかできない自分を客観視して、情けなく思ったものです。
ビジネスにも役立つ!高山さんの行動は、映画「オデッセイ」のマット・デイモンと同じだった
高山さんのブログ記事には、がんの発症から完治に至るまでの詳細が記録されています。また、それらをわかりやすくまとめた著書は、がんの危機に直面している人はもちろん、それとは関係のないビジネスマンにとっても非常に有益なコンテンツだといえます。
冒頭の動画で紹介した映画「オデッセイ/原作:火星の人」は、火星に置き去りにされた植物学者マーク・ワトニー(マット・デイモン)が、自らの知恵と情報を駆使して挑む生存をかけた孤独な奮闘と、彼を救いだそうとする周囲の努力を描いたSF大作です。(2016年2月公開)
高山さんとマット・デイモン演じるマーク・ワトニーは、状況が違えど生命を脅かされる危機に直面しました。そして危機を乗り越え家に帰るまでのプロセスが、驚くほどに同じなのです。
“もう終わりだ” それを受け入れるのか?闘うのか? そこが重要だ!
まず始めるんだ。問題を一つ解決したら次の問題に取り組む。そうして問題を解決していけば家に帰れる。~映画「オデッセイ」より
危機に陥った際に、落ち着いてできる限り情報を集めて冷静に現状を把握し、解決出来る問題からひとつずつ対処していく。そして可能な限り周りの協力を仰ぐために、十分すぎるほどのコミュニケーションを取る。
事実は小説よりも奇なり。高山さんが直面した2度のがん発症という現実は、ハリウッド映画のスケール並みに困難だったといえるかもしれません。
それを乗り越えられた知力と胆力をビジネスマンは大いに参考にすべきではないか。高山さんの著書を読み、オデッセイを鑑賞した筆者は、そう強く確信しました。
もし、あなたが仕事が面白くない、うまくいかないといった原因を職場の環境や他人など周りのせいにしていたら?…それは、あなたがビジネスマンとしての危機に直面している状況なのかもしれません。
面白くない、うまくいかない問題は何か?それを解決するために、今自分にできることは何か?一緒に協力してくれる人はいるか?
高山さんの著書には、その例となる数多くの情報が、わかりやすく記述されています。
映画「オデッセイ」(Odyssey)のタイトルの意味は?
映画「オデッセイ」の英語タイトルは「The Martian」、原作タイトルは「火星の人」です。邦題はなぜ「オデッセイ」なのか?公開当時は、そのタイトルが話題になりました。
そもそも、「オデッセイ」とはどういう意味のタイトルなのか。その答えはパンフレットに書いてある。少し長くなるが引用しよう。
〈挿入歌としてデヴィッド・ボウイの「スターマン」がフルに使われている。リドリー・スコットとデヴィッド・ボウイといえば、じつはリドリー演出のアイスクリームのCMに無名時代のデヴィッドが出たことがあって、22歳のデヴィッドは「スペース・オディティ」のヒットで将来が開ける直前だった。
スタンリー・キューブリックとアーサー・C・クラークは、時間と空間のかなたまで行って帰ってくる旅の物語を、ホメロスの「オデュッセイア」にならって『2001年宇宙の旅』(2001:A SPACE ODYSSEY/宇宙のオデュッセイア)と名づけた。デヴィッド・ボウイはそれをもじって「宇宙のオディティ(特異な人)」を書いた。本作の邦題『オデッセイ』も、火星に行って帰ってくる旅の物語だからこそ選ばれたのだろう〉
「オデッセイ」は、「行きて帰りし物語」を表す言葉。そして過去の偉大なSF映画にも大スターにも目を向けた言葉でもある。そうやって考えると、そう悪くないのではないだろうか? ~エキサイトニュースより
映画「オデッセイ」が「行きて帰りし物語」であるならば、高山知朗さんの著書『治るという前提でがんになった 情報戦でがんに克つ』は「生きて帰りし物語」という表現がフィットすると思います。でも、筆者としては「元気になられて本当によかった」と。ただ心からそう思う次第です。