AI時代を生きる子供たちに必要な学びとは
2011年にアメリカの小学校に入学した子供たちの65%は、大学卒業後、今は存在していない職業に就く(キャシー・デビットソン(ニューヨーク市立大学大学院センター教授)
今後 10~20 年で、雇用者の約 47%の仕事が自動化される(マイケル・オズボーン(オックスフォード大学准教授)
といった予測もあるように、将来の変化を予測することが困難な時代を生きる子供たちに対しては、社会の変化に受け身で対処するのではなく、自ら課題を発見し、他者と協働してその解決を図り、新しい知・価値を創造する力を育成することが喫緊の課題である。そのためには、子供たちに「何を教えるか」だけでなく、子供たちが「どのように学ぶか」という視点が重要であり、「アクティブ・ラーニング」の視点で授業を改善し、課題の発見と解決に向けて主体的・協働的に学ぶ学習を充実させていくことが求められている。(平成27年8月26日:文科省:教職員等の指導体制の在り方に関する懇談会提言)
少し古いですがこの情報は2015年の議論です。とくに人工知能AI(artificial intelligence)が話題になってから、子を持つ親世代の職業が消滅または自動化され、子供たちが就職する頃は、自分達が予測出来ない・知り得ない職業が大半になる。今の子供たちにこれまでの教育で大丈夫なのか?他に将来を見据えた新しい教育が必要なのではないか?と不安を募らせている親御さんも多いと思います。
しかし、それらについては、まったく不安にならずともよいのではないでしょうか。
なぜなら、古い職業だろうが新しい職業だろうが、そのフィールドで活躍するには、これまでに取得してきた知識・知恵をさまざまなカタチに組み合わせて新しい価値を創造すればいいからです。これは、人類誕生から現在に至るまで、おそらく変わらない本質のようなものです。
ただし、これまでのような受験教育、つまり正解が決まっている問題を解く精度が高いことが評価され、それがよりよい職業に就くことにおいて必ずしも有利であるという認識は、変わるでしょう。
ということで、AI時代を生きていく子供たちに必要な学びというのはどのようなものが最適なのか検証していきます。そして、その必要な学びを取得できる環境として御代田町は最適であることも紹介します。
文科省のこれからの教育方針は起業家育成?
文科省が考えるこれからの教育について、もう一度確認してみましょう。
将来の変化を予測することが困難な時代を生きる子供たちに対しては、社会の変化に受け身で対処するのではなく、自ら課題を発見し、他者と協働してその解決を図り、新しい知・価値を創造する力を育成することが喫緊の課題である。そのためには、子供たちに「何を教えるか」だけでなく、子供たちが「どのように学ぶか」という視点が重要…
この文科省の提言内容は、自分で事業を興して、そこそこ成功している人なら、これって当たり前なのでは?という風に感じると思います。これは正に起業や経営の基本姿勢と同じだからです。
つまり文科省は、これからは起業家や経営者になれるような能力が時代を切り開いていく上で必要なので、そのような教育(アクティブ・ラーニング)をやっていきましょう!といっているわけです。
ということは、これからの小中学校の教育は、まあ時代に沿った方向に変化しつつあるといえます。
平成27年2月17日:文部科学省提出資料:産業競争力会議雇用・人材・教育WG(第4回)
AI時代も「よく学び、よく遊べ(Work hard and play hard.)」
さて、文科省が考える人材育成教育は「考える力」とか「生きる力」を身につけるといった抽象的な表現ですので、今回は「情報処理能力」から「情報編集力」というキーワードで、アクティブ・ラーニングを提唱し、これから必要な人材像を定義されている藤原和博さんという方の考えをご紹介します。
前奈良市立一条高等学校校長で、元公立中学校校長、著述家、教育改革実践家。東京都生まれ。 東京都初の中学校の民間人校長として杉並区立和田中学校の校長を務めた。~Wikipediaより
藤原和博さんは、リクルートから都内初の民間人の校長として杉並区和田中学校に就任し、独自の手法で同学校を数年で都内でもトップクラスの進学校に変えたという教育改革において大きな実績を残されている方です。近年では、AI時代に人間しかできないことは何か?基礎学力を落としてでも情報編集力を鍛えるべきなど、新しい教育の取り組みについて情報発信されています。また多くの講演も行われていて、その内容はログミーというサイトで閲覧することができます。
想定外の状況に対応できる人は「情報編集力」がある——藤原和博氏が説く、AI時代の生きる力
2018年9月7日~17日にかけて、日本財団「SOCIAL INNOVATION FORUM」と、渋谷区で開催した複合カンファレンスイベント「DIVE DIVERSITY SUMMIT SHIBUYA」が連携し、都市回遊型イベント「SOCIAL INNOVATION WEEK SHIBUYA」が開催されました。本セッションでは「AI時代を生き抜く」と題し、藤原和博氏が登壇。従来の日本型の教育が育んできた「情報処理力」と、AI時代に求められる「情報編集力」の違いについて解説しました。
私も直接面識はありませんでしたが、新卒で入社した会社の大先輩というのもあり、藤原和博さんの著書やWeb記事などたくさん目を通してきました。その中で最も印象に残っているコメントがこちらです。
断言できることがひとつあります。それは、「10歳くらいまでのあいだに思い切り遊べていない人間は、将来的に伸びない」ということ。これは、「情報編集力が伸びない」と言い換えてもいいでしょう。そして、この情報編集力は、じつは遊びのなかで育っていくものなのです。遊びには決まった正解などなく、想定外のことも二律背反のことも起きます。遊びに出かけて急に雨が降ってきたのなら、そのなかでどう遊ぶかと考える必要がある。あるいは、同級生と遊びに出かけたお兄ちゃんに小さい弟がついてきてしまったら、遊びのルールをどう変更すれば誰もが納得できて楽しめるのかと考えなければならない。その場のあらゆる状況を踏まえて仮説を立てる情報編集力が問われるわけです。~こどもまなびラボより
私的な解釈になりますが、藤原和博さんの定義する「情報編集力」というのが考える力や生きる力であり、新しい価値を生み出す原動力であり、AI時代に人間が身につけるべき重要な能力であると。そして、「情報処理能力」というのは、これまでの学校や塾で学ぶことができる受験勉強で身につけることができたが、情報編集力は幼少の遊びから育んでいくものという事だと思います。
ここで勘違いしてはいけないのは、「情報編集力」を身につければ、これまでの受験勉強を代表とする「情報処理能力」が不要になるかというと、そうではありません。むしろ、高い「情報処理能力」がなければ「情報編集力」を活かすことは難しいと思います。つまり、昔からいわれている「よく学び、よく遊べ」が最適解であるといえるのではないでしょうか。
田舎に移住して子供と思いっきり遊んでください
さて、AI時代の教育と田舎への移住がどう関係してくるかというと、それは単純で田舎は子供たちと思いっきり遊べる・学べる環境が整っているということです。例えば、東京から新幹線で1時間30分ほどの距離にある長野県の軽井沢の隣町にある「御代田町(みよたまち)。少子化時代というのにここ5年ほどで人口が1,000人くらい増えて、2021年7月現在で、16,000人。移住者が暮らしやすい環境が整っている自治体です。
土地価格も坪3~5万円くらいなので、200坪くらいの土地が600~1,000万円くらいで購入できます。そこに家を建てれば、森の中の一軒家の完成です。庭の木に野生のリスや鳥が集まってきます。家の周りの林を探索すれば、いろんな昆虫に出会うこともできます。また、公園に行かなくても充分に広い庭で親も子供と一緒に思いっきり遊ぶことができます。そんな自然豊かで閑静な住宅地でありながら、都市部の佐久市や軽井沢町に車移動で15~20分くらいというアクセスのよさが魅力の御代田町なのです。
子供たちが思いっきり遊べる森の中の一軒家も手頃な価格で建築できる |
もちろん、町内には龍神の杜公園や雪窓公園など近隣都市からも子供が遊びにくるほどの大きな公園もありますし、キャンプ場やスキー場など山フィールドの遊び場が点在しています。
町外からも子連れで遊びに来る程人気のある雪窓公園 |
学校が終われば、近所の子供たちが自然と空き地に集まって勝手にみんなで遊んでいたという光景がなくなって随分経ちますが、AI時代を生きる子供たちに親が残してあげられることのひとつとして、自然の中で一緒に遊んであげることは重要だと思います。
やっぱり子供たちは、お父さんやお母さんと一緒に何かをやりたいのです。そして、幸福感に包まれながら子供たちは、いろんな「情報編集力」を身につけていく。すばらしいことじゃありませんか。
昨今、「学校の勉強は社会で役立たない」「画一的な教育で子供の個性を没している」など、小中の学校教育を否定される意見は年々増加しているように思います。仮に学校教育が時代遅れであったとしても、いいじゃないですか。
公教育が時代の最先端というのは、世界中を見渡しても多分ないでしょうし、公教育は、藤原和博さんのいう情報処理能力の基礎を学ぶところです。それに、アクティブ・ラーニングは公教育でも実施が始まっていますので、これから変化していくのではないでしょうか。
それよりも、親が子供と一緒に遊んだり学んだりする機会を増やす方が、子供の将来にとって大いにプラスになると思います。