西軽井沢に移住して1年が過ぎました。2017年7月末、うだるような暑さの太平洋側から新居に引っ越してきた時、軽井沢のあまりの涼しさに感動した覚えがありますが、今夏に関しては、日中30℃を越える日差しの強い猛暑日が続いています。
夏の涼しさを得るために移住した身としては、これだけ暑い日が続くと移住失敗では?と思ってしまい気が重いです。
さて、シリーズとして「西軽井沢に移住した記事」をいくつか投稿していますが、今回は、少々ネガティブなネタになります。
なぜ、田舎移住に失敗するのか?
田舎に移住して、地域に溶け込むのは簡単ではありません。インタビューや取材で地方移住者やいろいろな田舎を見てきた筆者が感じたのは、狭い日本といわれているが、これほど地域によって文化や風習が多彩な国は、世界を見てもそんなに多くないのではないか?ということです。
これまで当たり前だと思っていた慣習が、新天地ではまったく通用しないまま、それを是正できず周囲から孤立し、最終的にはその地を去って行くというような移住失敗のケースは、少なくないでしょう。
これまでとは異なる田舎のギャップを乗り越えないと、移住は失敗してしまうのでしょうか?
田舎は、常識が通じない・考え方が古い?
ネットやSNSなどで、移住失敗のエピソードを目にすると、その多くは「失敗の原因」として地域の悪しき風習や人間関係のトラブルを挙げています。
特に都会から田舎に移住して失敗するケースは、これが大半かもしれません。
「私は悪くない、常識が通じない周りがどう考えてもおかしい、そもそも考え方が古い、時代に合っていない、非効率だ…だから田舎は過疎になるんだ!」
たしかに、移住先によっては時代に乗り遅れていたり、おかしな事があるかもしれません。しかしながら、都会の常識が絶対であるなら、すでに日本中がそうなっているはずです。
人々はそれほど愚かではありません。どの地域も長い年月の間、そこでどう生きていくのが最善か?をみんなで真剣に考え続けてきたと思います。そして、今もこれからも考えていくでしょう。
歴史や文化、慣習が異なる地域に移り住んできたのに、都会の常識を振りかざして移住先でエイリアンになってしまっては、移住に失敗するのは当然の結果といえるかもしれません。
東京をディスリ、田舎でマウンティングする移住者は要注意
これから書くことは、完全に筆者の私見で、それらを確証づけるデータなどのエビデンスは全くありません。ですので、参考程度に扱っていただけると幸いです。
移住者のブログやSNSを見ていて「ああ、この人は、移住に失敗するな」と思う共通の行動は2つです。
・移住後、東京をディスる
・移住先で、マウンティングする
移住後、自分の選択は間違っていないということを主張したいのかどうかはわかりませんが、「田舎は空気が綺麗、もう東京には住めない」「満員電車で通勤なんてあり得ない」「贅沢な料理!東京なら倍以上の値段はする!」等々、ついこの間まで東京で暮らしていたのに、東京を下げつつ移住先の田舎も持ち上げるという愚行を行う移住者は少なくありません。
中には、東京で頑張っている人達の存在まで否定するという信じられない所業も目につきます。
そして、移住先においては、「やっぱり東京の品揃えには、かなわないね」「なぜ田舎では、こんな効率悪いの?東京ではありえない」「考え方が古い、東京なら当たり前」…などなど、自分が都会者でえらいんだぞ!みたいなマウンティングをおそらく無意識にやっているのです。
こういうダブルスタンダードな態度では、移住に限らず周りの共感を得ることは難しいでしょう。そして、当然ながら移住においても失敗する確率が高いといえるのです。
東京あっての地方
地方あっての東京
今の日本は、経済面でいえば東京の財力が地方を養っているといっても過言ではありません。また、地方のすばらしい農畜産物があればこそ、東京で日本中のおいしいものを気軽に食べることができるのです。ほかにも東京と地方に関するリレーションシップの例は数多くあります。
つまり、東京と地方は、お互いに大切な関係を構築する事で、それぞれ成り立っているといえます。いくらお金があっても食べ物がなければ飢えてしまうし、お金がなければ質のよいモノや新しい価値を生み出すことは出来ません。
昨今、地方創生が叫ばれているのは、日本全国の人口減に加えて都会への人口集中が、地方の衰退を加速させているからです。長期的に見れば、都会と地方のバランスの取れた人口分布が望ましいので、都会から田舎に移住するリソースは、とても貴重なのです。
東京にも地方にも内容や程度は異なれど「問題」はあります。できるだけ地方移住に失敗しない為には、自分に合った地域を選ぶことを前提としながらも、その地方にある問題を理解し、ある程度は地域に自分を合わせていくことが大事なのではないでしょうか。
おまけ:地方移住の誤解
誤解①田舎は生活コストが安い=>NO!
都会と比べて安いのは、家賃または、土地代と固定資産税だけで光熱費(特にプロパンガス、水道)や物価(ガソリン、生活雑貨等)は、田舎の方が高いです。田舎に移住して生活コストが上がったということはよくあることなので気をつけてください。
誤解②田舎は人情に厚く親切な人が多い=>NO!
田舎も都会も同じ割合で、善人も悪人もいます。人口が少ない田舎は、近隣同士のコミュニケーションが密になるため親切にされたことも嫌な思いをしたことも印象に残りやすいということだと思います。
例えば、都会で同じマンションに住んでいる人達で形成される自治会の規模が、田舎では町内会規模に相当するかと思います。そう考えると、ほぼ同じような感じではないでしょうか。
誤解③田舎のすばらしい自然と景色の中で暮らすの最高=>NO!
都会のタワマンから見える夜景と同じで、田舎の家のベランダから見える海や山のすばらしい景色もすぐに飽きます。富士山の麓に住んでいる静岡や山梨の人は毎日感動しているでしょうか。まあ、景観がすばらしいところに住んでいるという自尊心は、人によっては満たされているかもしれません。
美しい景色は、非日常だからこそ感動を誘うのではと思います。
誤解④田舎は食べ物が安くておいしい=>NO!
世界中のあらゆるおいしいものは、東京に集まります。また、地方の高品質な農畜産物の大半は、それらを一番高く購入してくれる東京の豊洲中央卸市場に送られます。飲食店の総合力も競争が激しく人口が多い東京がもっとも洗練されています。
SNSで、東京から地方へ移住した人が地元の飲食店を絶賛している書き込みをよくみかけます。例えば、角が崩れた切り身で粉わさびが添えられているような刺し盛りを「このボリュームで2,000円なんて考えられない!」とかツィートしているのを見ると、失礼ながら東京でもちゃんとした店を利用したことないんだな、と思ってしまいます。
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