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「薪ストーブ」の導入から運用までの費用を公開~東京から伊豆高原、そして西軽井沢へ移住③

「薪ストーブがある生活」「薪ストーブライフ」「薪ストーブの家」「薪ストーブ暮らし」などなど、なぜか薪ストーブに関するイメージは、ロハス的というかセレブチックに紹介されることが多いですが、ここでハッキリと否定しておきます。

薪ストーブライフ、あえていうなら「薪割りに始まり、薪割りに終わる」…つまり年がら年中、燃料になる薪の入手に東奔西走しなければならないエンドレスな生活のことです。決して優雅でも楽でもありません。

使ってわかった!薪ストーブは超贅沢品

筆者が西軽井沢で購入した中古住宅には、薪ストーブ(Jøtul F400と二重煙突)がついていました。家の構造も薪ストーブで全体を暖めやすくする設計になっているらしいので、何の疑問も持たずに冬の暖房は「薪ストーブ」利用を前提に進めることになったのです。

この時点で、薪ストーブに関する事前知識をほとんど持ち合わせていなかった筆者は、薪ストーブにかかる初期費用や運用費用について、かなり甘い見積をしていたのです。

購入した中古住宅に設置されていた薪ストーブ
Jøtul F400

10月初旬、そろそろ冬支度を始める時期になったので、薪ストーブと煙突の清掃を業者さんに依頼することから薪ストーブの生活がスタートします。

足場を組むほどではありませんが、スタッフの方が、はしごで煙突のある屋根に登り上から掃除を始めます。もう一人は薪ストーブを分解しつつ下から掃除をしていきます。

2名のスタッフが2~3時間かけて、煙突と薪ストーブをピカピカにしていきます。そしてその費用は…

薪ストーブと煙突の清掃費用/年1回:32,400円

いきなりのカウンターパンチです。都会なら2カ月分くらいの暖房費。これが、薪ストーブに関する高額出費の幕開けとなりました。

薪ストーブアクセサリーを揃えたらいくらかかるか?

薪ストーブ1年目は、薪ストーブを運用するための各種アクセサリーが必要になってきます。さて、それらを一式揃えると一体どのくらいの費用がかかるのでしょうか?

実際に購入したアクセサリー等を一気に紹介していきます。

まだ子供たちが小さいので薪ストーブを囲むハースゲートと呼ばれる柵が必要でした。

大量の薪をストックしておくために必要な薪ラック。既製品は高価なので、2セット購入した後は、ホームセンターで木材を購入して自作しました。(自作するのも結構大変です)

屋外にある薪ラック(ログラック)から薪を運ぶために使用するログキャリー。部屋の一時保管のラックとしても使います。それだけでは足りないのでウッドストッカーも追加で。

薪が燃焼した後に出る灰を一時的にストックしておくアッシュコンテナ。コンテナが一杯になると中古の米袋などに移して、ゴミ処理場へ持っていき処分(有料)してもらいます。幸いなことにウチでは、お付き合いのある薪屋さんが無料で回収してくれているので助かっています。

薪ストーブのガラスを拭くダスターやクリーナー、着火用の木片など細かいものを入れておくコンテナ。

火かき棒、ホウキ、スコップなどがセットになったファイヤーツール。薪ストーブを運用する際に必要な基本セットです。

薪ストーブは部屋の中で薪を燃やしますので、密閉されていても細かい灰は周辺に散乱しますので、吸引力の高いアッシュクリーナーが必要です。

耐熱性のあるラグです。火の粉が飛んできた場合、被害を最小限にするために薪ストーブ付近に敷いておく必要があります。

その他、ガラスについたカーボンなどの汚れを落とすガラスクリーナや着火剤、ガスバーナー、耐熱手袋といった消耗品類も最初に購入する必要があります。

   

まず、ここまでが初期費用です。

薪ストーブ備品の初期費用合計:約114,000円

燃料の薪代は年間20万円以上かかる

次に薪ストーブの運用ですが、これも費用がかさみます。自前で薪を調達出来ない場合は、すぐに使用出来る乾燥薪というものを購入しなければなりません。

この乾燥薪が高価で、一般家庭の使用で年間20~30万円ほどかかります。薪ストーブを使用する期間が約6カ月ですので、燃料の薪だけで4~5万円/月となります。

2tトラックに満載された乾燥薪
約1カ月分

乾燥薪の価格例
広葉樹ナラ:40cm/2t車1台
43,200円+配送料3,240円=46,440円

広葉樹ナラ・クヌギ混合:40cm/2t車1台
38,880円+配送料3,240円=42,120円

針葉樹なら、もう少し安くなります。

ちなみに、薪ストーブの薪代に毎月4~5万円が負担に感じない方にとっては、まさに「薪ストーブのある家」といったセレブ的で優雅な薪ストーブライフになると思います。

薪を自前で調達するには、更に費用がかかる

一般的には、薪を購入しつづけるのは厳しいので薪ストーブ2年目からは、自前で薪を調達する算段をつけなくてはなりません。

ありがたいことに軽井沢エリアでは、貯木場という町民ならタダで木材が持ち帰れる行政サービスが利用できます。

我が町の貯木場

さすがに、高価な広葉樹はほとんどありませんが、針葉樹でも充分薪としては使えるので、これらを無料で頂けるのは、本当にありがたいことです。

が、しかし…写真をご覧いただければわかるように、どうやって木材を家まで運ぶの?という問題が発生します。

まあ、薪フリークの方などは、軽トラや2tトラックで乗り付けてドサッとまとめて運ばれていきますが、一般的には、チェーンソーを持ち込んで薪のサイズ(30~40cm)に切断して、車のトランクに入れて少しずつ運んでいきます。

そうなんです、薪の原料となる木材は無料で手に入りますが、運ぶのが大変なのです。

では、薪作りに必要な機材を順に紹介していきます。

まずは、木材を玉木にするために必要なチェーンソー。直径30~40cmの木を切断しますので、ある程度パワーが必要なのと何年も使うのでエンジン式をおすすめします。また、メンテナンスが必要なので国産メーカーが無難でしょう。

チェーンソーは、非常に危険な道具ですので、防護ズボンや振動を軽減させる手袋、鉄板入りのブーツ、ヘルメットといった事故やケガを防ぐための安全装備は、一通り揃えた方がよいと思います。

   

木材をチェーンソーでカットし玉木にした後は、それを割って薪にする必要がありますが、この作業を斧(オノ)でやると多大な労力がかかり、それが原因で薪ストーブを諦めてしまう方も多いと聞きます。

玉木と薪割り機

なので、筆者は最初からその労力を軽減する電動式薪割り機を購入しました。

電動薪割り機でうまく割れない玉木は、斧(オノ)や鉈(ナタ)で対応します。斧は薪割りに適した洋式がおすすめです。

 

玉木を割ってすぐの薪は、水分を多く含んでいるので燃料としては使えません。1年から2年自然乾燥させて含水率が15%以下くらいになると燃料として使用できる状態になります。

割った薪の含水率を計測するのに必要なのが湿度検出器です。

自前で薪を調達するためには、おおよそこのくらいの機材や装備が必要となります。

薪調達に必要な初期費用:約100,000円

更に、薪を乾燥させるためには薪を保管できる薪ラックが必要になります。乾燥に1年かかりますので2年分(10~12t)の薪を保管することができるラックと設置スペースが必要です。これは既製品を購入すると高くつくので、ホームセンターなどで木材を購入して加工し、腐食止めのニスを塗ってDIYするのが良いですが、手間はかかります。

筆者は、12個のラックを自作しました。

DIYで作成した薪ラック

薪ストーブは、薪割りに始まり、薪割りに終わる

いかがでしょうか?薪ストーブを始めるには、備品の初期費用で約12万円、薪の自前調達ができるようにするには、初期費用で約10万円、合わせて20万円以上必要になります。

※ゼロベースから、薪ストーブや煙突を設置するには、工事費含めて100万円くらいは別途かかります。

そして、木材をチェーンソーで切断して玉木にする危険な作業、つらい薪割り作業をしなければならず、かつ薪を保管し乾燥させる場所も確保しなければなりません。

薪ストーブは、たしかに暖かいです。連日マイナス気温の寒い冬でも家の中はポカポカの快適空間です。2月の最も寒い時期でも朝起きた時の部屋の温度が10℃以下だったことはありません。灯油ストーブや石油ファンヒーターみたいにガス臭もしません。

また、ダッチオーブンなどを使えば、薪ストーブでいろいろな料理もできます。

ダッチオーブンで調理した丸鶏のグリル

薪ストーブのおかげで我が家のQOLは、間違いなくあがりました。その代わり、常に薪を確保するための作業が続きます…

【関連情報】

※このBLOG(99 Lebensart:旧名 スマートデバイスで仕事を変える!)は、株式会社アイテムのテストマーケティングサイトです。

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