筆者も体験した虫歯治療がたったの2時間で終了。CAD/CAMを使い削り出しで約10分、その他の作業を含めて計60分程度で歯の詰め物を作成する画期的なソリューション「CEREC(セレック)」。従来のセラミックインレーよりも安価*1で高耐久を実現した他社には真似のできない先鋭的技術の一端を紹介します。
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3Dスキャンで瞬時に治療箇所をモデリング
CEREC(セレック)では、虫歯箇所を取り除いた後に行うインレーの型取りや仮歯作成が不要です。型取りの代わりにCEREC Omnicamという口腔内スキャナーを用いてインレーを装着するところをスキャンします。スキャナーを任意の位置にかざすだけで自動スキャンが始まるので、誰でも簡単に操作できます。
2時間で完了するCERECの虫歯治療工程 |
実際の治療の際、筆者も下の写真の様に治療箇所をスキャンしてもらったのですが、時間はほんの十数秒で一瞬でした。
「えっ!もう終わり?」というのが正直な感想。
こんな短時間で複雑な歯の立体がちゃんとスキャンできているのだろうか?という疑問を払拭できなかったので、シロナデンタルシステムズさんに正直な気持ちをぶつけてみました。
「ホントにちゃんとスキャンできているのですか?」
この疑問に対してシロナデンタルシステムズから2つのサンプル画像を見せていただくと、、、
CEREC Omnicamでスキャンして生成された3Dモデル |
スキャン元の歯の写真 |
どうですか、この精度。正直ビックリです。別途、ショールームにあるモデルを使ったデモスキャンも見せていただきましたが、同様の結果でした。
パウダーフリーと独自アルゴリズムが決め手
実は従来の口腔内スキャナーは、工学的乱反射を防ぐため酸化チタンを含むパウダーをスキャン箇所に噴霧する必要がありました。パウダーの噴霧には熟練の技術が必要で口腔内スキャンは難しい施術行為だったそうです。
最新のCEREC Omnicamは、パウダーを噴霧する必要のないパウダーフリー。独自の手法で乱反射を防ぎパウダーがなくてもスキャンを可能にしました。また、ビデオカメラと同じく動画で口腔内を立体的に撮影しており、撮影時にカメラを静止する必要がなく、情報量の多いカラー画像を取得することに成功。
さらに永年蓄積したノウハウで開発した独自のソフトウェアアルゴリズムを搭載し、虫歯で失った歯の形を、まるでそこにあったであろう形態で再現できます。もちろん隣の歯との接触、噛み合う歯の接触もコンピュータが自動に計算してくれます。*2
*2・・・実現にはバーチャルアーティキュレーション、バカルショットやバイオジェネリックファンクションなど説明が難しい高度な技術が導入されています。
人の手による格差を技術で限りなくゼロにする
思うに、医療に関するプロダクトというのは人の手作業よりも低コストだが質は悪いでは、おそらくダメなのでしょう。安価で且つ人の手作業と同等かそれ以上が大前提ではないかと。人体に関わることですから非常に厳しいリリースラインがあるのでしょうか。
実際CERECは、人の熟練度によって格差が生まれる工程をさまざまな独自技術で均一化し、人でしか出来ない最終工程などは手作業を重視しています。それによって従来施術と比べて多くのメリットを持ち合わせています。
時間に余裕がないのと単に興味本位で施術を受けたCERECですが、個人的には大満足です。一般的な歯の審美治療はかなり高額になりますが、CERECなら年に1から2回*3くらいは受けてもいいかな。と思えるコスト負担感。たとえば、笑ったときに他人に見えてしまう位置の銀歯や負荷が高い奥歯などを1本ずつ数年かけてCERECにリプレイスしていくとか。
実際、歯が綺麗になるという満足感や何度も通院する時間の節約、高耐久インレーによる歯の健康寿命へのプラス影響の可能性など、負担するコスト以上のメリットがあると思います。
歯の検診や治療の機会があるなら「まずは1本、CEREC」を試されてはいかがでしょうか。