『スマホ時代だから”○○”しよう』第2弾です。
スマホは情報端末としての機能は群を抜いて優れています。高速ネット回線に接続しさまざまな情報を瞬時で表示させることができます。スマホを使う人々は、これまでに比べて圧倒的に短時間で多くの情報を手に入れることができるようになりました。
いとも簡単に多くの情報へアクセスできるようになることが、どんなバリューをもたらすのか?
多量の情報に触れることは、人々の知識レベルを向上させると共に、問題解決の時間を短縮し、多様な価値観を学ぶ機会を拡大させます。それによって造詣が深まり、文化や哲学、芸術などに対しての理解や興味が促進される。
つまり、極論すれば人類総オタク化に向かうというわけです。
オタク化するトリガーとは?
人がオタク化するきっかけは主に2つあると考えられます。ひとつは、新しい価値に触れた際に大きな刺激を受け、のめり込んでしまうカルチャーショック。もうひとつは、興味を持ったけれど経済的・時間的な制約があって、かじる程度だったことが時を経て人間的成長や経済的余裕が生まれたために本格復活する温故知新。
いずれにしても短時間に多くの情報に触れることが可能なスマホによって何らかのトリガーを引いて、目覚めてしまうといえるでしょう。
このような個人の身近な生活シーンでも、スマートデバイスはイノベーションを起こしているわけです。
お茶の間で高音質の音楽を楽しむ
前置きが長くなりましたが今回のテーマは音楽(オーディオ)です。1970年代後半にSONYから携帯型音楽プレーヤー「ウォークマン」が発売されて以来、音楽はカジュアルな存在になり、今ではネット配信でいつでもどこでも安価で多くの音楽を手軽に楽しめるようになりました。
音楽もここまで成熟してくると、今後はリアリティを追求した70~80年代のオーディオ全盛期に回帰するのが自然といえます。本格オーディオの復活ですね。その流れを察してか音楽・オーディオ業界が挙ってCDよりも高音質のハイレゾを推しています。
ひとことで高音質といってもイメージしにくいので、代表的な音源フォーマットごとにビジュアル化して説明していきましょう。
【圧縮音源:mp3、AACなど】
iTunes&iPodのヒットで一気に普及した音源です。基本はCD音源を間引き・圧縮してデータサイズを小さくしたもの。ポータブルオーディオ用やAmazon Prime Musicのようなストリーミングサービス用としてカジュアルに扱えますが、音質としては平坦でシャリシャリした軽い感じですが、TVやPCに付属しているような出力解像度の低いスピーカーだと明瞭に聞こえたりするメリットもあります(ビットレート:64~256kbps、1曲:数MB)
【CD音源】
1980年代後半に登場し、アナログレコードに替わってメジャーメディアとなった12cmの光ディスク。オーディオマニアからはアナログレコードに比べて音が良くないといわれています。また録音やマスタリングの差で激しく品質が異なります(帯域:4Hz~20kHz、ビットレート:1411kbps、サンプリング周波数:44.1kHz、ビット深度:16bit、1曲:数十MB)
【ハイレゾ音源:flac、SACDなど】
CDよりも高音質の規格。ディスクメディアではSACD(DSS64/2.8MHz)、データではFlacやWAVがメイン。非常に音が良いといわれていますが、マスター音源の質によって大きく品質にバラツキがあります。また、一般的なポータブルオーディオやミニコンポ向けに音圧を上げてマスタリングされた音源はハイレゾ再生には向いていないためハイレゾ用にリマスタリングしてリリースされることが多いです(帯域:2Hz~100kHz、ビットレート:1411kbps以上、サンプリング周波数:44.1~192kHz以上、ビット深度:16~24bit以上、1曲:数百MB)*SACDはDSD64規格に準じます
【DSD256(11.2MHz)音源】
デジタルでアナログレコードと同等レベルの音を出力できる現時点でのハイレゾ最高峰であるDSD256(帯域:2Hz~100kHz、サンプリング周波数:11.2896Mbps/1bit、1曲:1GB弱)
DSDとはDirect Stream Digital(ダイレクト・ストリーム・デジタル)の略称。 音声をデジタル化する方式の1つで、音の細かいニュアンスの忠実な再現を目指して開発されました。 DSDは通常のCDのPCM方式とはまったく違う1bitのレコーディング形式。~OTOTOY
実際にDSD256(DSD11.2MHz)の音源を購入して再生してみました。通常のハイレゾもなかなか良い音ですが、DSDは音の粒が細かく、空間一杯に音場が広がり、スピーカーの存在が消えてしまうような錯覚に陥るほどの音でした。アナログレコード再生で感じた”空気感”や”臨場感”も伝わってきます。音楽を聴くことがこんなに素晴らしいモノだと感じたのは初めてかもしれません。ここまで高音質のサウンドを体験すると”曲”より”音”そのものを楽しみたくなります。
リビングをライブハウスにする
CDからスタートしたデジタル音源もDSD256の登場で、ようやくアナログレコードと同等レベルになってきました。アナログレコードに比べてDSDのよいところは「手軽さ」です。
正直、アナログレコードでライブハウスレベルのオーディオ再生環境を構築するには最低でも100万円は必要です。レコードの保管・管理も大変。DSDなら同等の環境を十数万円くらいから構築できます。
音源別:再生環境にかかるコストの目安 |
それでは、筆者が構築したリーズナブルなDSD256のオーディオ再生環境を紹介しましょう。
【プリメインアンプ:SANSUI AU-X1/パワーアンプとして利用】
ライブハウスクラスの迫力ある音を再生するためには、パワーのあるアンプが必要です。こういうアンプはかなり高額になりますので、1970~80年のオーディオ全盛期に活躍した古いアンプをリフレッシュチューンしたモノを中古で入手しました。(購入価格は約90,000円)
1979年製で当時の価格は21万円。大卒初任給が10.5万円の時代でしたのでかなりの高級品だったようです。重量は27.7kg、ラックにのせるときは、ぎっくり腰等に注意が必要です。音はパワフル且つ繊細、こもった音やボワーンといった弛みが微塵もない引き締まった低音が魅力です。
【スピーカー:JBL:Control 5 Plus】
アンプがビンテージですのでスピーカーも同年代に近い1992年製のJBLスピーカーにしました。こちらもリフレッシュチューンした中古品です(購入価格:38,000円)
【USB-DAC:iFI-Audio:nano iDSD】
巷で購入できるDSD256を再生できるDACは、それほど多くありません。DSD再生は初めて。本格的なDAC購入はリスクがあるので、ポタアンとしても使えてリーズナブルなモノを選びました(購入価格:26,380円/5年保証付)
(2016/4/3 15:28時点)
【オーディオPC:HP Z210 Workstation】
DSDデータの再生には、それなりのCPUパワーが必要です。OSも64bitがベター。安定稼働と耐久性も必要なのでインテルのサーバー用プロセッサXeonを搭載したワークステーションを中古で購入しました。メモリもECCなのでエラーにも強い。
OSはWindows7 Pro 64をWindows10にアップグレード、メモリ+4GB増設、ハードディスクはSSDに換装してUSB3.0外付けHDDを追加(購入価格/本体:21,800円+増設メモリ:5,188円+SSD256GB:11,722円+中古外付けHDD1GB:5,000円)
(2016/4/3 15:20時点)
【中古ワークステーションの詳細はこちらの記事で】
【DSD再生ソフト:JRiver Media Center 21】
DSD256が再生できるソフトも限られています。foobar2000はフリーウェアですが設定が面倒なので設定が簡単で高音質再生が可能なJRiver Media Center 21にしました(購入価格:5,000円)
以上で、現時点で最高レベルのデジタル音源を再生する環境が完成しました。総額で約200,000円*でリビングがちょっとしたライブハウスに変身します。*以前から所有していたモノを除くと約70,000円
DSDオーディオ環境 |
あとは、DSD256(11.2MHz)の音源を用意するだけなのですが、まだまだリリースされている数は少ないです。でも、最近のCDの主流である過度なコンプのミックスで編集された質の悪い音源は存在しないので、本当の”いい音”が手に入ります。DSDの本当の音を聞いたとき、今までになかった刺激を受けることができますし、音楽に対する価値観が大きく変わると思います。オススメです。
【DSDの素晴らしさがよく分かるコラムです】
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