IP電話乗っ取り高額請求事件にようやく進展があったようです。
IP電話乗っ取り被害の一部、NTT東西が返金
インターネットを使う「IP電話」が乗っ取られて勝手に国際電話をかけられる問題で、NTT東日本、西日本は6日、既に請求した高額な国際電話料金の一部について、「料金相当額を負担する」と発表した。事実上の返金となる。(読売新聞)
なんとこれまでの被害は約120件、総額約7,000万円以上(NTT東日本が約90件・約5,500万円、NTT西日本が約20件・約1,600万円)とのこと。
ここまで多くの被害が出ているのにもかかわらず約款にて全額請求、支払わなければ電話停止という対応を取っていたNTT東西。総務省の指導があってようやく重い腰を上げたのでしょうか?
IP電話乗っ取られる被害、強制遮断を要請へ 総務省
「IP電話」を乗っ取られ、多額の国際電話代を請求される被害が多発していることから、総務省は6日、通信会社に対し、不審な通信に気づいたら強制的に回線を切ることを求める方針を決めた。乗っ取りに気づいていない利用者の被害額が膨らむのを防ぐねらいだ。総務省が、7日にも通信業界に要請する。(朝日新聞デジタル)
NTT東西は、これまで2営業日ほどかかった国際通話停止の手続きも7月下旬からは、申し込みの当日中に止めるとのこと。
全額返金ではないので注意
NTT東西は、「利用者が国際通話を停止を求めて、停止になるまでの期間に発生した被害」に限定して返金に応じるとのことなので、停止依頼していない期間に被った被害は対象外。被害に遭っても大丈夫というわけではありませんので、IP電話・ひかり電話の乗っ取り対策はしっかり行っておいたほうがよいでしょう。
通信の秘密の遵守や約款が最優先なのか?
そもそもIP電話乗っ取りでの通信状態は人間が行う範囲を超えています。
ある被害例では、3日間に1回30秒ほどの通話を1万5,000回。単純計算すると1時間に200回、1分間に3回電話をかけていることになる。こんなこと人が物理的に出来るようなことではない、あきらかに異常な状態であることがわかるはずです。
憲法が定める「通信の秘密」を守る義務から、通信会社は無断で利用者の通話内容を監視したり、回線を切ったりすることができない。だが、IP電話の被害は、利用者が気づかないことが多い。総務省は、通信会社が乗っ取られた可能性が高いと判断すれば、回線を止めても違法性は問われないと判断した。(朝日新聞デジタル)
これは、総務省の判断が妥当でしょう。明かな異常事態というのは、例外扱いするべきで、それを平時の規則に当てはめて対応というのは、むしろ公序良俗に反する行為のようにも思われます。
もちろん悪質な犯人が一番悪いのですが、電話もインターネット網で利用する時代なので、通信会社も利用者もセキュリティに対して一層の留意が必要なのかもしれません。